永遠に叶えたい愛がある。
嬉しいけれど、でも緊張してどうしていいかわからなくて早くも来てしまった土曜日の夜。
時計の針が11時を回っても一向に眠れなくて、私はクローゼットを開けて明日の洋服を決めることにした。
ドアを開けて一番先に目についたのは去年お母さんが私の誕生日に買ってきたまだ一度も着ていない花柄のワンピース。
「べ、べつにデートじゃないし…」
一人言なのに自分が発した“デート”という言葉に体が熱くなる。
「何言ってんだ、私」
フルフルと頭を左右に振った。
でも、見渡す限りクローゼットに洋服はあまりかかっていなくて。
その洋服の下にあるプラスチックの収納ケースにはジャージがいくつもしまってある。
あとは着古したジーパンにTシャツとパーカーくらいだ。
「…もういつも通りでいいかな」
ないものはないし、仕方ないよね。
でも、
“女の子らしく、可愛くなりたい”
そう思ったから、どうにかしたくて。
けど気づいたのが遅かった。
もう数時間後には待ち合わせの時間。
今さら服を決めようなんて考えが遅かった。
自分の考えの甘さに涙が出そうだ。
私の持っている服ではコーディネートなんてできやしない。
どうして自分は女の子として生きてこなかったんだろう。
もっと女の子の友達と遊べばよかった。
女の子の雑誌を読めばよかった。
自分を女の子だと思うべきだった。
自問自答しても洋服の解決にはならない。
もう諦めよう。
そう思ったときだった。