永遠に叶えたい愛がある。
宗平に追い付いたときにはすでにレジでのお会計と中で。
「あ、お金」
私は慌ててショルダーバッグからお財布を取り出す。
「ありがとうございました」
女性店員の声に対して、どうもと宗平は応えるとレジ横の入り口のドアを開けた。
「行くぞチクワ」
お財布のチャックを開けたところで宗平が私を振り返る。
「私の分の…」
「いいから」
私の言葉を遮り宗平はそう言うと先に外へ出た。
いいからって言ったって。
まだお金払ってないのに。
財布を手にしたまま慌てて私も店の外に出た。
「ねえ、私の分のお金」
宗平の後ろ姿に問いかける。
「いーよ。奢り」
「えっ、でも」
奢りと言われても、社会人でもないのに。
「俺、バイトしてるから」
宗平の横に並び見上げると、宗平も私を見てフッと笑った。
「なに?意外か?」
“バイト”という聞き慣れない言葉に今までと違う世界に入り込んだような気分になる。
「意外と言うか、バイト…してるんだ」
なんか全く想像がつかない。
そもそもバイトと言われて、ピンと来るものもなくて。
高校生になって月に5000円のお小遣いを貰う私にとって“奢る”なんて言葉も初めて聞いて。
宗平がなんだか少し遠い存在に感じた。