永遠に叶えたい愛がある。
反対側の改札まで歩くとタクシーの停留所が見えた。
きっとそこまで送ってくれるのだろう。
相変わらず私は宗平の数歩後ろを歩いていた。
もちろん歩き始めてから数分全く会話はない。
この状況について聞きたいけれど聞いちゃいけない気がして、でもその他の会話なんて思い付かず葛藤。
そんなこんなで結局乗り場まで来てしまった。
「あ、ここでいいよ。はやく行ってあげなよ」
乗り場にタクシーは一台もなく、とりあえず先頭のラインに立つ。
宗平に手を差し出して荷物を渡すように合図した。
「何も聞かないんだな」
「え?」
手元から視線を上げると、相変わらずなんとも言えないような表情の宗平。
聞かない
じゃなくて
聞けない
「んー、気にならないって言ったら嘘になるけど、今ははやく戻ってあげて」
大人ぶった自分を心の中で笑った。
本当は気になって気になってしょうがないのに。
でも聞く権利も、宗平をここに留める権利も私にはない。
私の手に小さな買い物袋を渡して、宗平がずっと持っていた大きい方の買い物袋を地面に置いた。
「悪いな。これもお願いしちまうことになっちゃうけど」
「大丈夫。体力だけはバスケで培われたから」
ハハッと少し宗平がはにかむ。
けどやっぱりいつもの宗平とは違う。
綾美さんと何があったと言うのだろう。
「あ、来た!」
宗平の背後にタクシーが向かってくるのが見えた。
「はい、もう行きな~」
それでも動こうとしない宗平の後ろに回って背中を押す。
「また明日学校でね」
何があったか知らないけど
今は宗平のそんな顔、見ていたくない。
悲しいことがあった?
辛いことがあった?
でも、それでも
次に会うときは笑っていて。