永遠に叶えたい愛がある。
おかげさまで。
4時間分の授業が全く頭に入っていない。
むしろ先生の声すら耳に入ってくる余裕なんて今の私にはなかった。
支配するのは昨日あったあの出来事。
考えなかったわけじゃない。
何度も考えてみたけどわからなかった。
あの状況が一体なんだったのか。
その件に関してなのだろうか。
時計の針があと1、2分動いたら昼休みを告げるチャイムが鳴り響くだろう。
そしたら私は外通路へと向かう。
宗平はなんて言う?
それとも何も言わない?
とにかく会ってみないと。
お釣りも渡さなきゃならないし。
「はやく…」
小さな声が漏れてしまう。
チャイムが鳴るまで長く長く感じる。
秒針が動く度に鼓動が速くなって行く気がした。
緊張する。
「よう」
チャイムが鳴り号令の後にダッシュで教室を出て外通路に向う。
2年生の階にある外通路は少し遠く感じた。
すでに外通路のベンチに腰かけていた宗平の前に立ち、見上げて来た宗平と目を合わせる。
「…よう」
宗平の言葉に同じに返した。
「あ。これ、昨日のお釣」
お釣の入った袋を向けると、
「えっ」
宗平が伸ばした私の腕ごと引っ張った。
「なに!?」
足が数歩前に出て
トンっと宗平の額が私の胸下に当たった。
「ちょ、ちょっと何してるの?」
左右を見渡す。
幸い、外通路には私たちだけで誰も見ている様子はなかった。
遠くからたくさんの生徒たちの昼休みを楽しむ声が聞こえる。
「…昨日、本当に悪かったな」
ギリギリ聞き取れる声で宗平がそう言った。
「…うん、私なら大丈夫だよ?」
昨日のあの女の人と会ってから宗平が変だ。
まるで別人みたいに。
「昨日のアイツ…綾美は俺の妹だ」