永遠に叶えたい愛がある。
「…わりいな」
そう言って、宗平は私の体を離した。
「あんま調子よくないのかも」
なんて悲しさが隠ったようなハニカミを見せる。
「宗平…」
なんにもできない自分がすごく情けない。
これ以上私から聞くのも違う気がするし、その他にどうしたらいいのか何も思い浮かばない。
「チクワおまえ…今ものすごいブスだぞ?」
え?は?
人がものすごく悩んでるって言うのに。
自分に嫌気が差してる状態なのに。
「泣くとか意味不明」
そう聞こえたかと思うと、私の目元が宗平の手で覆われた。
今は、泣く場面ではない。
必死に堪えていたのに。
ただ、宗平には“妹だ”って言われただけで、他に何か言われたわけではない。
私が勝手に宗平の様子を見て何かあるんじゃないかって勝手に思い込んで、何もできない自分に落ち込んで。
今にも泣きそうだった宗平の顔を思い出したら、何かがじわじわ来てしまった。
「ごめん…なんか花粉症でさ、今日ひどいんだよね」
宗平の手を放し、制服の袖で目元を拭う。
ブレザーの生地は少しヒリヒリと感じさせた。
「だよな。俺もそんな気がするわ」
宗平は顔を私から背けると鼻を啜った。
そんな姿にも心が痛くなる。
きっと何かがあったはずなのに。
「…って言うか、チクワおまえいつから俺のこと名前で呼んでんだよ。しかも呼び捨て!」
急にいつもの声色に戻ったかと思うと、今更な質問が飛んできた。
なによこの切り替え方。
下手くそすぎるよ。
でも宗平がそうしたいなら、私も従うまで。
「はい?あんた宗平でしょ?宗平って呼ばれてなんで不満なのよ!」
宗平なんてチクワ呼ばわりの癖に。
「様をつけろよ、様!」
「は?なんでよ!名前で呼ばれるだけマシじゃない!」
“様”を付けろだなんて何様だ。
あんたなんか永遠に呼び捨てよ。
私はべーっと舌を出した。