永遠に叶えたい愛がある。
インターハイ県予選は白岡駅が最寄りの総合体育館で行われる。
私ももしもバスケを続けていたら出場できていたのだろうか。
制服に着替えながらそんなことを考えていた。
あと一時間もすれば北高のバスケ部にとっての大舞台が始まる。
白岡駅で早希と待ち合わせをし、体育館へ向かう予定だ。
いつもながら早めに家を出た。
心臓がドクドクと波打っている。
幼なじみの勇人、小さい頃から共にプレーした雄先輩、そして宗平。
どうか、勝ち進んでいけますように…。
少しどんよりとした曇り空に祈った。
「紗英、お待たせ!」
白岡駅で10分ほど待つと早希が現れた。
「じゃ、行こうか」
体育館まで歩いて約10分。
私たちはいろいろ話ながら道のりを歩いた。
「ええ!勇人に聞いたの?」
私はいつにない速さで早希の方に目を向ける。
「そう、聞いてしまった。なんか中学生みたいだなーとか自分で思ったけど止まらなかったんだよね」
私と宗平が会わないうちに、早希と勇人はかなり距離を縮めている様子だった。
相変わらず、部活の帰りは昇降口で二人で私を待っている。
ここ一週間くらい勇人は遅くまで練習していたみたいで、早希だけが待っていたが。
私も勇人と一緒に帰宅をする約束をしているわけではないから先に帰り、さらに疲れているのか勇人が家にが来ることもなかったために会えずじまいだった。
「で、どうだって?」
えっとー…と早希が返事にもじもじする。
「彼女…いないって」
まあそうだろうな。
と少し思った。
確信はなかったけれど、休みは私の家にいてそうでない日は部活で明け暮れて。
彼女の影なんてちっともなかった。
これで“いる”と言われる方がびっくりだ。
「よかったね、早希」
相変わらず真っ赤な顔をして俯く早希が微笑ましくなった。
それから、羨ましくも思った。