永遠に叶えたい愛がある。
体育館に足を踏み入れると、懐かしい音が聞こえてきた。
体育館をバッシュで走る音、ブレーキをかけたときのキュッてする音と、ボールが地面に叩かれる音。
久しぶりの感覚に体が震える。
「紗英、やっぱりバスケ続けたかった?」
目をつむりすべてを感じていると早希がそう言った。
「ううん、それはないかな。ただ懐かしいなって」
「そっか」
あとは応援団の声や、掲げられている横断幕。
全てが本当に懐かしい。
「あ、勇人くんいた!練習してる!」
2階席に上がり上から見渡すと、4組のユニフォームが見えた。
体育館半分はもうすでに試合をしている様子だった。
北高側はあと15分もすれば始まる。
「あ、本当だ勇人だ。スタメン選ばれたみたいだね」
勇人よ、1年生でスタメンだなんて将来有望だな。
それにしても中学生のときよりもずいぶんと成長したように思える。
華奢で私よりも可愛かったのに、今では私よりも体格よくなって顔も男らしくなった気がする。
男の成長期は恐ろしい。
「かっこよすぎるー。前行って観たい!」
「でも前いっぱいだね」
一番前の柵の部分はすでに制服を纏った女子生徒で埋め尽くされていた。
ネクタイまでは見えなくて何年生かわからないけれど。
「ここでも十分見えるし、次は早く来て席取ろうね」
中学と違って高校の試合は親ではなくクラスメートや友達が応援に来るらしい。
「応援することが大事だもんね!」
早希は両手でガッツポーズし、鼻息を荒くした。
「あ、あれ雄先輩だ」
高校に入ってから数回しか会っていない雄先輩も、なんだか大人びて見える。
無事にスタメンに選ばれたみたいでよかった。
「谷岡先輩いないね」
早希に心の中を読まれたみたいで一瞬ドキッとした。
「うん…」
実は最初から宗平の姿を探していたのだけれど、ちっとも見つからない。
スタメンから外されてしまったのだろうか。