永遠に叶えたい愛がある。




第4ピリオド、わずか残すところ2分。






37ー63北高の圧倒的リードだった。







選手たちの顔に笑顔が見えている。





もちろん応援席の声援もヒートアップしていた。










「勇人くん、大丈夫かなあ」






私の隣に座る早希がそう呟いた。





勇人の姿が見えなくなってからはため息と浮かない表情。




第2ピリオドの途中、勇人は相手の選手とぶつかり選手交代となっていた。





「大丈夫だよ。転んだ感じからして大したことなさそうだし、大事をとっての交代だと思うよ」





「うん。紗英が言うなら大丈夫だよね…」






口ではそう言うものの早希の表情は変わらない。





「試合終わったら勇人のとこ行こうね」




その言葉にパッと私を見たかと思うと少し笑って早希は大きく頷いた。












それをよそに試合はどんどんと進行していく。





第4ピリオド、残り30秒を切った。





北高の勝利は目前。





雄先輩も宗平もコート内を何往復も走りシュートを決めていた。





選手たちに向けられる女子生徒たちの声援は相変わらず素晴らしい。





とくに宗平に向けられるものは。





宗平がシュートを決める度に他の選手が決めるよりも数倍もの黄色い声が体育館に響き渡る。






きっと後ろにポツンと座る私と早希に存在感など全くないだろう。






それでもこの場にいることが大切だと思った。











ピーーーーーーー







体育館にハイトーンの機械音が鳴り響いた。







スコアボードには45ー72と表示されている。






北高の圧勝だった。












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