永遠に叶えたい愛がある。
「あ、勇人くんだー」
数人の女子生徒に続いて他の女子生徒も中へと戻ってきた。
あっという間にアリーナの入り口が人で溢れる。
「早希、行こうか」
「え?谷岡先輩はいいの?」
会えるかな?なんて期待してみたけど、これだけ女子生徒が集まってしまえば結果は見えてくる。
この場にいたってどうせ話もできなければ目を合わせることすらできやしないだろう。
「うん、いいよ。学校でも会えるし」
「そっか…じゃあ行こうか」
女子生徒の中には前に校門のところで待ち伏せしていた先輩たちの姿もあった。
ここは気づかれないうちに立ち去るのが正解。
一目見たかった気持ちもあるけど、またあんな風になるのはごめんだ。
「外暑いね~」
体育館を出ると真上から太陽の日差しが降り注いだ。
6月に入り、夏が本格的に近づいてきた。
「これじゃあ夏が来るまでに真っ黒になりそう」
両手を交差し両腕をさすりながら早希が言う。
今月から夏の制服に替わり少し涼しくはなったが、袖から露出する肌の部分が多くなり日焼け対策が必要不可欠となった。
「でも、夏ってイベント多いから楽しみだね」
満面の笑みを浮かべた早希と目が合う。
「イベント?」
私の反応にまるで“やっぱりね”とでも言わんばかりの顔をする早希。
「まあまあ、とにかく学祭と期末テスト終わったらね」
「…そうだった。期末もあるんだった」
ついつい学祭の準備にとらわれてしまっていた。
学祭が終わったら期末テストが待っている。
それが終わらないと学生に夏はやってこない。
なんて忙しい日々なんだ。