永遠に叶えたい愛がある。
「お、来た来た」
階段を上りきり、アリーナが視界に入るとその手前に見える2階席のベンチに長身の男。
「宗平?どうして…」
私を見るなり立ち上がり宗平は片手を挙げた。
「いやーなかなかに女子たちが去らなくて困ってさ、だから舞台袖から上がってきて休憩してるとこ」
トクントクンーーーーー
まさかの遭遇に胸が高鳴る。
「試合お疲れ様。さすが宗平やっぱりすごいね」
初めて会ったときにもそう感じたけれど、公式戦を観て改めて心からそう思った。
幽霊部員なのにあんなにも動けるなんてもはや才能だ。
「巷で有名な千曲さんに誉めていただけるなんて光栄です」
「イヤミですか…」
宗平なんて社会人とチームを組むようなレベルの癖に。
「まあ、こっち来いよ」
そう言いながら宗平は宗平の座っているベンチの横を叩いた。
「あ、そうだ。私なんか忘れ物をしたみたいで…」
自分が座っていた位置を見渡す。
なぜここに戻ってきたのかその理由を忘れるところだった。
「悪い、それ嘘。チクワの帰る姿が見えてさ後輩に呼びに行かせる口実」
「え?」
さっぱりと状況が掴めない。
宗平が私を呼ぶための嘘だったと言うこと?
「女子たちが帰るまでの暇潰しってわけ」
カチン。
私は一体こいつの何なんだ?
「ひどい」
そんなの私じゃなくてもいいじゃないか。
そう思うのに、心の鼓動はそれと裏腹に速さを増していた。
体が火照って行くのがわかる。
「なんかおまえと話したかった」
私はさらに加速する鼓動を落ち着かせようと静かに唾を飲み宗平の元へと一歩ずつ進んだ。