永遠に叶えたい愛がある。



それからというもの。



私と宗平という人は一言の会話もなく、バスケの練習はひたすら進んだ。



3on3から人数を少しずつ増やして、気づけばフル人数での試合。



女の子が私しかいなくて、少し寂しい気もするが、練習はは男女関係なく進んでいく。



「少し休憩~」




お昼を挟んで、午後からの練習は試合に。



さすがに数時間も経つと、昔とは違って疲れが出てくる。


昔は疲れなんて知らなかったのに。




「ほい、お疲れ」



雄先輩がお茶のペットボトルを私に差し出した。



「ありがとうございます」



こういうとこ、1歳しか違わないのに大人だなと感じる。



「あいつ、宗平って愛想ないだろ?あれでもいいやつなんだ」



「え?」



そう言いながら雄先輩は私の隣に腰かけた。





例の宗平という人はコートを挟んで向かい側のベンチに脚を組んで空を仰いで座っている。



雄先輩がいるのに。




一匹狼かよ。







「なんかさ、掴めないやつなんだけど…でもいいやつなんだ」




雄先輩とあの人の間で何かあったのだろうか。



言葉からそんな感じが伝わる。




「ふーん、そうなんだ…」




けど、あの笑い方にはむかついた。



「仲良くしてやってよ」



そう言われてもねえ。
むしろ、これから関わりなんてあるのだろうか。




「まあ、雄先輩がそう言うなら」




雄先輩の頼み?となると仕方ない。




私の見た目はたしかに男の子に見られてもしょうがない。



だからわかるけど。



わかるけど、むかつく。





「あいつの笑った顔初めて見たんだ、さっき」



「初めて??」



「普段からあーいう感じでさ、ふって笑うことはあっても、顔を歪ませて笑うことなんてないんだよなー」



「もともとそういう性格なのでは?」



「それもあるとは思うんだけど。そうでもないような気もするんだよね」




つまり、よくわからない輩ってことね。
あんまり関わりたくない人種かもな。



「さーって、そろそろ試合するかね!」



雄先輩は両手を挙げて伸びると、大声を出した。



それに、周りも反応し、座っている人もドリブル練習してる人も集まってくる。



こういうとき、チームワークすごいなと感じる。



というか、雄先輩の威厳か。



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