永遠に叶えたい愛がある。
「俺の親再婚同士なんだよ」
体育館の側のベンチへ腰を掛けると体を折り俯いた宗平は話始めた。
私がずっと聞きたかったことを。
「うん」
とにかく今は話を聞いてあげたい。
「俺が5才の時に再婚して綾美は母親の連れ子だったんだ」
「…うん」
綾美さんは血の繋がっていない妹なんだ。
「小さい頃から一緒だったから本当の兄妹のように育ってきたつもりだったんだけど、綾美はそうじゃなかった」
綾美さんのあの様子だと他人からもどう見たって宗平のことを想っているようにしか見えなかった。
「兄妹だから無理だってことをいくら綾美に言っても無駄で、最終的には両親を離婚にまで追いやろうとしたんだ」
「…っ」
きっと綾美さんはそこまでするほど宗平のことを想っていたに違いない。
どんなお兄ちゃんだったんだろうか。
「だから」
宗平は大きく息を吸って吐き出した。
「俺が綾美に内緒で家を出て県外のこの学校へ進学を決めた」
昨年まで他県で社会人とバスケをプレーしてたような人が、それを辞めてまでもここへ来た。
「綾美は妹として可愛がってきた。家族の一員として本当に大切だったんだ。だから…」
隣で俯く宗平の肩が震える。
どれだけ苦渋な選択をしてきたんだろう。
「宗平…」
雄先輩も言っていた。
本当に心から笑っている顔を見たことがないって。
どこかいつも陰がある感じだったのは、このことがあったからなんだね。