永遠に叶えたい愛がある。
きっと宗平も綾美さんを大切にしてるからこそ無下にできなくて、綾美さんも宗平のことを本気で好きでいる。
血の繋がっていない兄妹だからこそ、すごく難しい部分なのかもしれない。
「おまえが謝る必要ねえよ」
私の手を握り返すと宗平はそう言った。
「私、話聞いても何もしてあげられない…」
宗平と綾美さんの二人の問題で、私が首を突っ込むことではない。
それがまた悔しくも思うけれど。
「そんなことねえよ。さっきも言ったけど、おまえがいて良かった」
宗平は顔を上げて私を見ると歯を見せて笑った。
その笑顔に心がキュンとなる。
「さて、帰るか」
スッと立ち上がると宗平は両手を挙げて背中を伸ばした。
「そうだね、お腹も空いたし」
私も立ち上がって鞄を手にする。
「あー!紗英いた!」
その高い声に私は体育館の方を向いた。
「早希!」
「おー、勇人じゃねえか」
早希と勇人が私たちの元へ駆け足で来る。
「先輩、お疲れっす」
「おう。悪いな、なんかこいつ借りちゃって」
「いや全然」
二人の会話に私は?を浮かべた。
借りるってなんのことだ?
宗平と勇人が何やら会話をしながら歩き出した。
私と早希もそれについて歩き出す。
「紗英、よかったね」
早希は私に近寄り横に並ぶと耳元でそう囁いた。
「?」
早希を見るとニコニコと笑っている。
「谷岡先輩といい感じだね」
その言葉に体が熱くなっていくのがわかった。
「もう!早希ったら!」
少し大きめのボリュームで出てしまった言葉に前を歩く二人が振り返る。
私は不思議な顔をした宗平を見た。
「なんだよ?」
「なんでもないよ」
暗くてよかった。
たぶん、私の顔は赤くなっていたに違いない。
駅までの15分、他愛ない会話をし私たちは帰路へとついた。