曇りのち晴れ
何かの本で読んだ。夜の街は綺麗だが、昼間見てみろ、汚いぞ。


その通り
でも私そんな汚い街の住人。ごめんなさい。






歓楽街は年末年始は忙しい。私は目標へと焦る気持ちを仕事に回した。毎日嘘をつき、猫をかぶって甘い声で囁く。いかにもホントの彼氏の様に接してお客を喜ばす。


「可愛いね」


そう言われるのもまんざらじゃなかった。私は綺麗にならなきゃと言う思いで拒食に近づき初めてた。食べてはトイレで吐きその繰り返し。誰も心配する人なんていない。逆にみんな大喜びだ。お陰で私はその店で売り上げトップになった。指名本数数十本百本に近い数のお客が私を呼ぶ。私の作り上げた一人の女の子を。








ある時仕事仲間のボーイが私に話しかけて来た。彼はふうちゃん風太だからふうちゃんって呼んでる。ふうちゃんとは仲が良かった。調子が悪い時はすぐに分かってくれて帰してくれた。そのふうちゃんが私に言った。



「お前店辞めて…」



「え?何で?」




「………好きなんだ、だからこんな仕事して欲しく無い…」




私は揺れた。今でも私はユウキが好きだった。でも、ふうちゃんを失いたくない。これって好き?って事?何?

混乱しながら無意識に私は



「ありがとう、私も好きだよ」



と言っていた。




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