曇りのち晴れ
入院。親はその手段を取った。
閉鎖されている病棟に入れられて捨てられた子供みたい。と自分を遠くから見ていた。


病棟に入って2日目、何もせずただぼーっと歩いていた。その時30代位の女の人が



「飴でも食べて元気出してね」


と苺味の飴をくれた。その女の人は鏡子さん。
後から私は鏡子さんをお母さんとして慕う事になる。


「優子~?」

「何?お母さん。」


「ほらっ今日は優子の好きなケーキ!買って来たよ~」



「ありがとう」


お母さんは本当の子供の様に私を面倒見てくれた。私はお母さんの病名を知らない。ここの病院では他人の病名を聞くのはNGだ。




「今日からこの部屋に入る山上さんです、よろしくお願いします」

そう言って女の子と看護師が入って来た。山上さんの寝るベッドは昨日まで居たおばあちゃんのベッド。おばあちゃんは明日退院するって喜んでたっけ。



「山上真衣子です、よろしくお願いします」

そう言って頭を下げた後、私を見てもう一度頭を下げた。
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