星が降るようで
「そろそろ帰ろうか。母さん達が心配する」
兄が腰を上げてこちらを振り向く。
「そうだね」
頷いて、それから私はあっと声をあげた。
「ねえ、あのノート貸して」
受け取ったノートの表紙を一撫ですると、さっきまで座っていたブランコの脇にそっと置く。弔うようにしゃがんだままの私を、兄がじっと見ていた。
「もういいの?」
やがて立ち上がった私に兄が問いかける。
「うん。これは持って帰れないからね」
「そうか」
ごみ箱に捨てる勇気は、まだ持てないけれど。
「行くか」
「うん」
ゆったりと歩き出す兄の後ろについて公園を出る。
「そういえば理沙、お前優太の事どうするんだよ」
「うーん、ちょっと考えてみるつもり」
「そっか……まあちょっと抜けてるとこあるけど割といい奴だからさ、アイツ」
「うん、知ってる」
歩みを進める並んだ足が、今日の一日を上書きしていく。
駅まで戻る道すがら、兄妹として止まった時間を埋めるように、私たちはいつまでもいつまでも話し続けていた。
もう、手は繋がなかった。
兄が腰を上げてこちらを振り向く。
「そうだね」
頷いて、それから私はあっと声をあげた。
「ねえ、あのノート貸して」
受け取ったノートの表紙を一撫ですると、さっきまで座っていたブランコの脇にそっと置く。弔うようにしゃがんだままの私を、兄がじっと見ていた。
「もういいの?」
やがて立ち上がった私に兄が問いかける。
「うん。これは持って帰れないからね」
「そうか」
ごみ箱に捨てる勇気は、まだ持てないけれど。
「行くか」
「うん」
ゆったりと歩き出す兄の後ろについて公園を出る。
「そういえば理沙、お前優太の事どうするんだよ」
「うーん、ちょっと考えてみるつもり」
「そっか……まあちょっと抜けてるとこあるけど割といい奴だからさ、アイツ」
「うん、知ってる」
歩みを進める並んだ足が、今日の一日を上書きしていく。
駅まで戻る道すがら、兄妹として止まった時間を埋めるように、私たちはいつまでもいつまでも話し続けていた。
もう、手は繋がなかった。