混 迷
···羚
小さいときから雛は、俺に甘える子だった。
父親や後妻の母からずっと邪険に
されてきた俺には
腹違いの弟、葵 と 妹、雛は
可愛くてたまらない存在だった。
双子は、親と違って
俺にべったりだった。
それも後妻の母は、
嫌っていたみたいだが・・
そんな雛が
ストーカーされていると
相談してきた。
「だから、羚ちゃん
私の恋人役をして
過ごして。
そしたら、諦めるんじゃないかな。」
「えっ、ストーカー?
大丈夫なのか?
わかった、役をすればいいんだな。
葵は、知ってるのか?」
「葵ちゃんは、心配して騒ぐから
話してないの。
刺激をすると・・恐いし」
「そうか、わかった。」
警察に話して、それがばれて
仕返しも怖いと言う雛に
俺は、彼氏の役を引き受けた。
明日は、咲空のプレゼントを
買いにいくつもりで別行動することに
していたし、大丈夫だな
と、思っていた。
自分の家族の話はしていない。
話すのも躊躇されるような
父親と後妻の母だ。
咲空は、お母さんである佳子さんに
とても愛されている
俺とは違って・・・
この自分の気持ちが
仇になるなんて
この時、俺にはわからなかった。
まして、妹の雛に嵌められてるなんて・・