混 迷
···葵、雛
葵は、自分の母親から酷い仕打ちを
されている兄がたまらなく
不憫だった。
兄・羚は、顔もさらながら
頭もよくて、優しくて
母からあんなことをされても
俺や雛に、あたるようなこともなく
いつも優しくて
俺は、そんな兄が大好きだ。
他人に対して冷たいところが
あるが、それは俺たちの母親と
父親のせいだ。
そんな兄が
大学に入ってから
穏やかな表情をするようになった。
友人と遊んでいるときに
兄が綺麗な女性と歩いているのをみかけた。
その時の兄は
俺達に見せるものとは
別の表情だった。
穏やかで、愛情が溢れていた。
その女性も
兄に柔ら表情をみせていたと思う。
兄に心安らげる人が
できて良かったと思っていた。
ただ、兄に執着している雛が
大丈夫かと、懸念したが
兄妹でもあるし
まあ、大丈夫かな
と、その時は⋅⋅⋅⋅そう⋅⋅⋅⋅⋅考えていた。