混 迷

下に降り
やっと、受付に戻ると
山田先輩が心配して待ってくれていた。
「咲空。大丈夫なの?」
「はい、すみません。」
「いいのよ。私達に遠慮は禁物」
「すみません。
先輩、化粧室に行ってきます。」
「了解」
化粧室に入り
鏡で顔をみると真っ青になっていた。

ふぅー。ダメダメ、きちんとしろ
負けるな、強くあれ
と、一人で何度も繰り返す。

少し落ち着いてから
仕事に戻り
山田先輩にお礼を言った。

羚達は、私が受付にいる間は
受付を通る事はなかった。

私は、帰ってから
華に今日の話をした。

「なに?なんで?
羚はそんな酷いことが言えるの?」
と、華は言うが
咲空は、本当に自分でもわからずに
首を横にふった。
「咲空の方が、なん十倍も傷ついて
苦しんだのに。
でも、咲空、大丈夫だよ。
これからは、私が一緒にいる。
羚達が、帰るまで。
先輩達にも話すから。」
と語気を強めていう華に
咲空は、可笑しくなり
「クスッ、ありがとう。」
と、言った。

咲空は、華のお陰で
張り詰めていたものが
なくなっていた。
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