混 迷

翌日・・

羚は、咲空を迎えに行き
花やお菓子・おもちゃを買って
あの子の元へ

車の中でも
ついてからでも
比較的にスムーズに
会話もできて
羚は、ホッとしていた。

二人で花を飾り
オモチャとお菓子を置いた。
ご住職には、日がきたら
片付けのお願いをしていた。

羚は、しばらくその場を離れ
咲空を一人にしてあげた。

しばらくして、咲空は羚の元にきて
「ありがとう、羚。」
と、言った。

羚は、頷いてから
「帰ろうか?疲れただろう。」
と、言った。

咲空は、その言葉に素直に従い
帰る事にした。

羚は、咲空の家に着き
佳子に挨拶をして
「咲空、抱き締めても?」
と、訊ねると
咲空は、コクンと。

羚は、佳子の前で
咲空をそっと抱き締めて
「咲空、本当に辛い日々を味会わせて
しまい、すまなかった。
いくら詫びても、
取り返しはつかないことは、
よくわかってる。

だが咲空、これからは幸せになって欲しい。
あの子の事より、自分の幸せになることを
考えて欲しい。
あの子もそれを望んでいるはずだよ。

そして、もう二度と俺は咲空の前に
現れる事はないから。
過去に煩わされることなく
幸せになることだけを考えて欲しい。」
と、咲空に告げ
「佳子さん、本当に咲空に
辛い思いをさせてしまい
申し訳ありませんでした。

咲空の恐怖の元兇は
取り除いてやりたいと
沢山無理な事をお願いしました。

恐怖の源である、俺に対して
少しは、和らいできたように
思います。
この期に私は二度と咲空の
前には現れません。
ただ、ただ、咲空の幸せだけを
願い続けます。」
と、言いながら頭を下げた。
「羚君は、それで良いの?」
と、佳子。
「はい、充分です。」
「そう、わかったわ。
咲空のために色々ありがとう。
あなたも沢山辛い思いしたのに。
羚君も、幸せになるのよ。」
と、言うと
「・・はい、ありがとうございます。」
と、言って
羚は、咲空の家を後にした。
< 74 / 88 >

この作品をシェア

pagetop