混 迷
咲空・・・
何か声が聞こえて
目を開けると
羚が颯を抱き上げて
「ママは、疲れているから
パパで我慢しろよ」
と、話しているのが聞こえた。
まさか・・・
本当にまさか、再び羚と
一緒にいれるなんて
考えてもいなかった。
あの時は、羚に裏切られた
それだけだった。
羚を失い、大切な赤ちゃんも失い
生きる糧をなくして
自暴自棄になった私を
献身的に支えてくれたのが
親友で幼馴染の華
そしてママ
詠斗、詠斗の両親である
おばちゃまとおじゃま達。
本当に感謝してもしきれない。
それに羚の会社のアルさん
そして、羚の弟である葵さんの
お陰で再び羚にあい
全ての誤解を解いてもらった。
それから羚は
自分の生い立ちを話してくれた。
羚の生い立ちは、
あまりにも寂しいもので
彼が人に対して関心がない理由が
よくわかった。
だから、私は羚を
心から愛して大切に大事に
したいと、心に誓った。