芸能人の彼と普通の女子高生。






それって相合傘っていうことになるんじゃないの?






「松田さん一人だけ残して帰るなんて出来ない。まぁ、あくまで止んでなかったらの話だけど」





「や、あの、そうなんだけどさ。....大川君色々と目立つし、私とそんなことしたら次の日とか絶対女の子に噂されるよ?もし彼女とかいたら誤解されるし、面倒なことになるかもしれないし...。私なら家近いから大丈夫だよ」






気を使って断ったのに、大川君はそんな私を見て小さくはぁ、とため息をつく。





「彼女なんていないし、面倒くさくない。それに」





「それに?」






大川君はそこで本を戻す手を止めて、私の方を見る。






なんだろ?





「俺、松田さんとなら噂されても構わないよ」





「え....?」





私とならって?




それはどういう意味?





「とりあえず帰る頃にまた様子見よ。今は早く終わらせよ」





「う、うん」





手を止めて私の方を向いた大川君はとても真剣な顔をしてた。





目がそらせなかった。







なんだか、いつもの気だるげな様子とは全く違っていてその目はどこか熱を帯びていて、獲物を見るような、そんな目に見えた。





少しドキリとしてしまった。




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