芸能人の彼と普通の女子高生。
「じゃあもう駅だから。松田さんはこの傘使って帰ってね」
「.....でも、それじゃあ大川君が電車降りてから家まで傘なくなっちゃうよ」
「あぁ、そうそう。俺折りたたみの傘も持ってたんだよね」
「.....え?」
それってつまり傘2つ持ってたってこと?
じゃあわざわざぴったりくっついて1つの傘に二人で入る必要なかったんじゃ...。
「言ったよね。松田さんにずっと触れたいと思ってたって。傘持ってたのは偶然だったけど、こうでもしなきゃ今はまだ松田さんにこんなに触れていられないから」
「そんな....」
「ずるくてごめん。まぁ、そのおかげでその首輪に気付けたんだけど」
「.....」
「俺は優しくないよ。少しでも松田さんによく見られたくて必死だよ。ずるくて、小さい普通の高校生」
「.......」
「じゃ、俺行くから。松田さんも濡れないように気を付けて」
「大川君、ごめんね...」
「何を謝ってるの?本当は意地悪した俺が謝らなきゃいけないのに。でも、まだここからだから。首輪男との勝負は。じゃあ、ばいばい」
「....ばいばい」
大川君はそのまま改札の方へと行ってしまった。