芸能人の彼と普通の女子高生。
「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい。頑張って」
今だけは彼女のように振舞ってもいいかな。
行ってらっしゃいって笑顔で見送る。
奏大さんは背を向けてすぐ出て行った。
こんな普通の家の玄関から、奏大さんは私には想像もつかない眩しい世界に向かっていく。
そこに憧れがあるわけじゃないし、同じところに行きたいとも思わない。
でも、一人なった時、奏大さんがやっぱり芸能人なんだって感じた時、どうしたって遠く感じてしまう。