芸能人の彼と普通の女子高生。
二人は先に食べてろ、とお父さんが言うので私は遠慮なく食べ始めた。
奏大さんも小声ではあったけどちゃんと手を合わせていただきます、と言ってから食べ始める。
こういうことを当たり前にちゃんと出来るって大事なところだよね。
「美味いだろ?沢山食え」
「.....美味いです。ありがとうございます」
どーだ、と言わんばかりの笑顔のお父さんに対して奏大さんはやっぱり淡々と答える。
でも、奏大さんはどこか顔を緩ませていて、嬉しそうな表情をしているように見えた。
それをお父さんも見逃さなかったのか、少し偉そうにしてた割には照れ臭そうにして笑う。
うちの食卓に奏大さんがいて、お父さんと話してるこの光景に未だに違和感は感じるけど、その何気ないやりとりがなんだか嬉しくて私もつられて笑った。