芸能人の彼と普通の女子高生。
奏大さんは何も言わず私の顔をジッと見た。
だめ、だったかな.....。
やっぱり迷惑だったかな。
あ、それともうちのご飯口に合わなかったかな。
ていうか変な女って思われたかな。
無言の奏大さんに不安になった。
奏大さんの綺麗な目は未だ私を捉えて離さなかった。
そんな不安げな顔をする私に対して、
「ありがと、愛衣」
私にだけ聞こえるように耳元でそっと呟いてから、また優しく笑った。
急に縮まった距離と、フワッと香った香水の香り。
そして、耳元で囁くようにして私の名を呼んだ低くて心地よい声に、一瞬ドキッと胸が高鳴った。