芸能人の彼と普通の女子高生。









「...それじゃあ、待ってますね」






『あぁ。必ず会いに行く』







そう言った奏大さんの声は酷く穏やかで。






きっと電話の向こうでは優しい顔をしてるのだと思った。







そう思うと私の心も暖かくなる。








「奏大さん、元気ですか?忙しいみたいですし、最近寒い日もあるから風邪とか引いてないですか?」






『引いてないよ。愛衣こそテスト中だろ。この前飯食ったときに言ってよな?あんま無理すんなよ』







「覚えてたんですね」





確かその会話はこの前、奏大さんと夕飯を一緒に食べた時にお父さんと何気なく話していたことだったのに。






『覚えてるよ。だから電話はしなかった』






「そうだったんですね...」






邪魔しないようにって、気を遣ってくれていたんだ。






優しいんだなぁ。





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