芸能人の彼と普通の女子高生。
「『彼等は橙色を嫌う』ってなんか素敵なタイトルだね」
彩香から受け取ったチケットをみてタイトルを確認する。
「ねー、なんか惹かれるタイトルだよね。原作は小説らしいよ。今日映画見てみて良かったら買うかも」
そう言われてそうえいば最近読書してないな、と思った。
私も何か本買おうかな。
始まる前に定番のポップコーンと飲み物を買いちょうど良い時間に座席に着いた。
彩香の予約しておいてくれた席は真ん中のやや後方というとても見やすい席。
時間になると一気に暗くなって、静かになる。
途端に暗闇の中、スクリーンに大音量で映像が映し出される。
この空間は日常とは切り離されたようで、ちょっとしたファンタジーのよう。
本編が始まる前に流れる他の映画の宣伝を見るのも好き。
それを見ては見に行きたいと思ってしまうのだからまんまと罠にハマっている。
そして、ついに映画が始まった。