空を拾う



 ソラは震える悟の背中を優しく撫でた。


 悟はソラの香りに包まれ、久しく忘れていた安らぎを感じた。


「本当に大切なものは、失えないのよ」


 ソラの言葉に閉じていた目蓋を開けると、ソラは聖母のように微笑んでいた。


「例え姿形を失くしても、大切なものは貴方の心に残る。入れ物を失うことを、どうしてそんなに恐れるの?」




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