空を拾う
その日、たまたま仕事で訪れたデパートで、悟は素晴らしいものを見つけた。
ドライの苺をホワイトチョコレートでコーティングしたそれを一目見て、ソラの喜ぶ顔が浮かんだ。
悟が一箱買い求めると、デパートの販売員は「素敵なバレンタインを」と微笑んだ。
悟は女へのプレゼントに生まれて初めてチョコレートを選んだ。
早々に仕事を終え、家へと急ぐ。
チョコレートの箱は、カーブを曲がる度カタカタと音を立てた。