空を拾う
「ソラ……」
リビングの灯りは消えていた。
悟がソラに送ったものは全て、ソラの居場所だったソファーに置かれていた。
ソラは消えてしまった。
閉じ込めておくために、靴だけは贈らなかったのに。
それでも構わず、ソラは裸足で出て行ってしまった。
ただ一つ、あのレコードだけが一緒に消えていた。
『大切なものは、心に残るのよ』
今はただ胸が痛い。
それでも自分はいつか、ソラとの記憶を懐かしめるのだろうか。
いつかまたソラに会うことができるなら、「久しぶり」と笑って言える自分でありたい。
悟は、そう強く思った。
fin