空を拾う



 女はソラと名乗った。


 この寒空に、ソラは薄いスリップドレスにパーカーを羽織っただけで、足は裸足だった。

 ソラの体には無数の引っ掻き傷があり、真っ白な肌に赤い線がくっきりと浮かび上がっていた。


「逃げてきたの」

「男か」

「まあ、そんなところ」

 ソラは薄く微笑んだ。


 年を尋ねると、ハタチだと答えた。

 悟には、それが嘘にも本当にも思えた。


 線が細く華奢な体躯は少女の様であったが、ソラの瞳は世の中の全てを見てきたかのように深く、力があった。


 その存在はどこか、儚くてアンバランスだった。




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