こんな恋のはじまりがあってもいい
新学期
毎日のようにメッセージや電話でやりとりをする間に、冬休みも終わりを告げる。
まだ朝寝坊が恋しいけれども、容赦なく新学期は始まるのだ。
「うう、寒い」
制服に着替え、とっさにマフラーを巻く。
うん、あったかい。
このマフラー、ほんと最高。
身なりを整えて、いつも通り学校へ向かう。
2週間ぶりの学校。
「おはよー」
ガラッとドアを開け、いつも通りに登校したつもりーーーだった。
皆も一瞬、普通にこちらを見たはずーーーだが
「え?」
一斉に後ろを振り返る。
皆の視線の先には
「……え」
同じマフラーを巻いた、真野くんがいた。
「おいおい〜お前らマジかよ〜」
「えっ、本当に付き合ってんの?」
「どうしたの急にお揃いマフラー」
ザワザワと盛り上がる教室で、やっと現状を把握した。
ああ、そうか。
あの騒動があったのは、冬休みの少し前。
お揃いのマフラーは、クリスマスの奇跡。
誰も知るはずが無かった。
うっかりしていた。
なんとなく恥ずかしくなって、耳まで赤くなるのが自分でも分かる。
かといってすぐにマフラーを外すわけにもいかず。
ええい、こうなりゃヤケだ。
真野くん、ごめん。
「あはは、お揃いもいいでしょ」
とだけ軽く言って、何事も無かったかのように席に着いた。
否定しない私を見て、皆は肯定と捉える。
ざわめきは一層、ひどくなった。
「ええ〜あかねって東じゃなかったの?」
「うそ…二人付き合ってるの!?」
「え、ただの偶然じゃないの?マフラーなんて何処にでもあるし」
遠巻きに聞こえる話には、耳を貸さない。
聞かれたら、素直に答えるけど。
チラリと彼の方を見ると
周りの男子に小突かれている。
彼はなんて返事しているんだろうか
彼が嫌な思いをしていなければ良いのだけれど。
「あかね、おはよー」
久しぶり、とミキが声をかけてきた。
「おはよ。それは…偶然?」
ミキはズバリ、私のマフラーを指差して尋ねる。
周りの女子も、遠巻きに耳をそばだてているのが見える。
「あはは、偶然だけど、偶然じゃないような」
「なんなのそれ!?全然わからない〜」
私は、ミキに理由を説明した。
「えー!そんな事ってあるの?面白い〜てか素敵!」
ミキはうっとりと自分も誰かとそうなりたい、なんて想像して楽しんでいるようだ。
周りの皆も、私とミキの会話を聞いて納得したらしく、その場から離れていった。
何人かの女子が、興味本位で聞いてくる。
「えっ、あかねって真野くんと付き合ってるの?」
「……うん」
「え〜意外!いつから?いつから?」
「冬休み前、かな」
「そうなんだ〜じゃ、あの噂って本当だったんだね」
噂。
きっとそれはーーーあの日の廊下での出来事で。
どんな噂で回っているのかは知らないけど、きっとその事だろう
私は反応に困って
あはは、と照れ笑いをして返すしか無かった。
下手に隠す必要もない。
だって、私は真野くんが好きだから。
ただ、それだけ。
だけど、この日の出来事が
このあと起きる話のきっかけになるとは
全く予想もしなかった。
まだ朝寝坊が恋しいけれども、容赦なく新学期は始まるのだ。
「うう、寒い」
制服に着替え、とっさにマフラーを巻く。
うん、あったかい。
このマフラー、ほんと最高。
身なりを整えて、いつも通り学校へ向かう。
2週間ぶりの学校。
「おはよー」
ガラッとドアを開け、いつも通りに登校したつもりーーーだった。
皆も一瞬、普通にこちらを見たはずーーーだが
「え?」
一斉に後ろを振り返る。
皆の視線の先には
「……え」
同じマフラーを巻いた、真野くんがいた。
「おいおい〜お前らマジかよ〜」
「えっ、本当に付き合ってんの?」
「どうしたの急にお揃いマフラー」
ザワザワと盛り上がる教室で、やっと現状を把握した。
ああ、そうか。
あの騒動があったのは、冬休みの少し前。
お揃いのマフラーは、クリスマスの奇跡。
誰も知るはずが無かった。
うっかりしていた。
なんとなく恥ずかしくなって、耳まで赤くなるのが自分でも分かる。
かといってすぐにマフラーを外すわけにもいかず。
ええい、こうなりゃヤケだ。
真野くん、ごめん。
「あはは、お揃いもいいでしょ」
とだけ軽く言って、何事も無かったかのように席に着いた。
否定しない私を見て、皆は肯定と捉える。
ざわめきは一層、ひどくなった。
「ええ〜あかねって東じゃなかったの?」
「うそ…二人付き合ってるの!?」
「え、ただの偶然じゃないの?マフラーなんて何処にでもあるし」
遠巻きに聞こえる話には、耳を貸さない。
聞かれたら、素直に答えるけど。
チラリと彼の方を見ると
周りの男子に小突かれている。
彼はなんて返事しているんだろうか
彼が嫌な思いをしていなければ良いのだけれど。
「あかね、おはよー」
久しぶり、とミキが声をかけてきた。
「おはよ。それは…偶然?」
ミキはズバリ、私のマフラーを指差して尋ねる。
周りの女子も、遠巻きに耳をそばだてているのが見える。
「あはは、偶然だけど、偶然じゃないような」
「なんなのそれ!?全然わからない〜」
私は、ミキに理由を説明した。
「えー!そんな事ってあるの?面白い〜てか素敵!」
ミキはうっとりと自分も誰かとそうなりたい、なんて想像して楽しんでいるようだ。
周りの皆も、私とミキの会話を聞いて納得したらしく、その場から離れていった。
何人かの女子が、興味本位で聞いてくる。
「えっ、あかねって真野くんと付き合ってるの?」
「……うん」
「え〜意外!いつから?いつから?」
「冬休み前、かな」
「そうなんだ〜じゃ、あの噂って本当だったんだね」
噂。
きっとそれはーーーあの日の廊下での出来事で。
どんな噂で回っているのかは知らないけど、きっとその事だろう
私は反応に困って
あはは、と照れ笑いをして返すしか無かった。
下手に隠す必要もない。
だって、私は真野くんが好きだから。
ただ、それだけ。
だけど、この日の出来事が
このあと起きる話のきっかけになるとは
全く予想もしなかった。