こんな恋のはじまりがあってもいい
陰口
お昼休み。
いつも通り、ミキとお弁当を広げて楽しく話す。
すると
廊下からチラチラと視線を感じた。
(……気のせいかなあ)
私の席は廊下から一番遠い、窓側の席だ。
教室には他にもたくさん生徒がいる。
自分に向けられたものかどうかなんて、分かるはずもない
だけど
「ーーーえ、マジ?」
「あの子、東くんと仲良しの子でしょー?」
聞こえてますけど。
ええ、やっぱり私のことですよね。
お弁当の味がしない。
これは少し、嫌だなあ。
だけど事実だから、どうしようもない。
「別にさ〜あかねは圭太と付き合ってたワケじゃないしね」
聞こえよがしに大きな声で、ミキが言う。
「…うん」
私はつい、うつむいてしまった。
ミキ、ごめんね。
圭太との事で心を痛めたのは、ミキも同じなのに。
お弁当を途中でしまい、私は廊下に背中を向けた。
ミキと並んで、校庭を眺める。
ちょうど、そこにはーーー
「あ、真野くんだ」
ミキがグラウンドの中央を指差す。
彼は先に昼食を終え、友達とサッカーを楽しんでいた。
よかった。
さっきの話は彼には聞こえていない。
廊下の声から気持ちを反らすように、彼を見つめる。
すると
「あ、真野くん気づいたよ?」
ミキが手を振る。
真野くんは楽しそうな笑顔で、こちらに手を振ってくれた。
私も、少しだけ控えめに手を振る。
すると周りの友達がそれに気づいて
彼を囃し立てたり、小突いたり。
なんだか大騒ぎになってしまったようだ。
でも、男子たちはとても楽しそうで
その姿を見て、ホッとした。
その時、背中に声が刺さった。
「わたしの方がずっと前から彼のこと見てたのになー」
「なんか調子よくない?あっちがダメならこっち、みたいな」
ちょっと、やめなよーと他の子がたしなめる声も聞こえる。
胸が、苦しかった。
ミキがそっと、背中をさすってくれた。
「……気にしなくていいよ。あかねは何も悪くないんだから」
「……うん。ありがと」
ミキが側にいてくれて、ほんと良かった。
あの日から。
彼はいつもさりげなく隣にいてくれて
気づけば居心地の良い存在で
それを大事にしたいと思った。
彼も、そう思ってくれていたのは
本当に奇跡のようなことで
舞い上がっていたけど
「……真野くんて、モテるよね」
思わず呟く。
ミキが何かを察したように私を見たけど
私はそれに答えることができなかった。
あんなに素敵な子の隣に
私なんかが居て、いいのかな。
少しだけ、息が苦しくなった。
だけどそんなこと、誰に聞けるわけもなく
私はただ、青白い冬の空を見上げた。
いつも通り、ミキとお弁当を広げて楽しく話す。
すると
廊下からチラチラと視線を感じた。
(……気のせいかなあ)
私の席は廊下から一番遠い、窓側の席だ。
教室には他にもたくさん生徒がいる。
自分に向けられたものかどうかなんて、分かるはずもない
だけど
「ーーーえ、マジ?」
「あの子、東くんと仲良しの子でしょー?」
聞こえてますけど。
ええ、やっぱり私のことですよね。
お弁当の味がしない。
これは少し、嫌だなあ。
だけど事実だから、どうしようもない。
「別にさ〜あかねは圭太と付き合ってたワケじゃないしね」
聞こえよがしに大きな声で、ミキが言う。
「…うん」
私はつい、うつむいてしまった。
ミキ、ごめんね。
圭太との事で心を痛めたのは、ミキも同じなのに。
お弁当を途中でしまい、私は廊下に背中を向けた。
ミキと並んで、校庭を眺める。
ちょうど、そこにはーーー
「あ、真野くんだ」
ミキがグラウンドの中央を指差す。
彼は先に昼食を終え、友達とサッカーを楽しんでいた。
よかった。
さっきの話は彼には聞こえていない。
廊下の声から気持ちを反らすように、彼を見つめる。
すると
「あ、真野くん気づいたよ?」
ミキが手を振る。
真野くんは楽しそうな笑顔で、こちらに手を振ってくれた。
私も、少しだけ控えめに手を振る。
すると周りの友達がそれに気づいて
彼を囃し立てたり、小突いたり。
なんだか大騒ぎになってしまったようだ。
でも、男子たちはとても楽しそうで
その姿を見て、ホッとした。
その時、背中に声が刺さった。
「わたしの方がずっと前から彼のこと見てたのになー」
「なんか調子よくない?あっちがダメならこっち、みたいな」
ちょっと、やめなよーと他の子がたしなめる声も聞こえる。
胸が、苦しかった。
ミキがそっと、背中をさすってくれた。
「……気にしなくていいよ。あかねは何も悪くないんだから」
「……うん。ありがと」
ミキが側にいてくれて、ほんと良かった。
あの日から。
彼はいつもさりげなく隣にいてくれて
気づけば居心地の良い存在で
それを大事にしたいと思った。
彼も、そう思ってくれていたのは
本当に奇跡のようなことで
舞い上がっていたけど
「……真野くんて、モテるよね」
思わず呟く。
ミキが何かを察したように私を見たけど
私はそれに答えることができなかった。
あんなに素敵な子の隣に
私なんかが居て、いいのかな。
少しだけ、息が苦しくなった。
だけどそんなこと、誰に聞けるわけもなく
私はただ、青白い冬の空を見上げた。