いちばん、すきなひと。
目がチカチカする。
バスケットボールが顔面に当たったことはあるけど
生の拳は初めてだ。
そんなことを一瞬思ったが、野々村は間髪入れずに俺の胸ぐらを掴む
「お前なにエラそーに言ってんだよ?アイツが自分に振り向かねえからって俺に八つ当たりしてんじゃねえよ!」
なに?
今、なんて
「そんな面倒くせー理由で俺に突っかかってくんな。」
なんだよ、
知ってたのかよ
「……悪いかよ。ああそうだ八つ当たりだよ!オマエがもっと本心ちゃんと出してたらもっと楽だったよ!思わせぶりな事してんじゃねーよ!その気ねえなら期待させんなよ!!!」
にらみ合い、そう怒鳴る。
「はっ、笑わせんじゃねー。俺がいつ思わせぶりな事したんだよ」
「毎日じゃねえか!今も!その態度が、お前の言動すべてじゃねえか!」
「思わせぶりなんかじゃねえんだよ!!!」
ドン、と突き飛ばされて
俺は後ろに吹っ飛んだ。
キャー、と女子の悲鳴が聞こえる。
この騒ぎは、みやのっちの耳にも入るだろうか
情けない。
だけど、男は引き下がれない時もあるんだよ
「はっ…、じゃあ、何なんだよ!!オマエのあの態度はいったい何なんだよ!!」
「お前に分かってたまるかよ!!話したくもねえな!」
「そうやってまたお前は肝心な所から逃げるんだろうが!」
野々村の瞳が、心なしか揺れた気がした。
その時
「誰だ!こんな所で騒いでいるのは!」
「こら!やめなさい!」
聞き覚えのある声が、廊下に響き渡った。
学年主任で、バスケ部の顧問ーーー山岡だ。
野次馬の生徒たちはそそくさと教室へ戻る。
皆、窓から身を乗り出して廊下の様子を伺っている。
「松田!野々村!二人とも職員室へ来い!」
俺たちはそのまま、何も話す事もなく
ただ黙って、先生の後を歩いた。
その後、5限の授業は出る事もできず
先生からこっぴどく説教をくらい
頬の手当てのために、保健室へ通された。
「まーアンタたち、こんな時期によくやるわね」
保健室の先生が呆れた顔で迎えてくれる。
俺たちは無言で、お互い目を逸らした。
「ま、男の子ですもんね。それくらい元気があるのも健全な証拠かしら」
湿布を手に、ひとりずつねと先生は椅子に座らせ、手当てをする。
「理由は知らないけど、アンタたちラッキーね。山岡先生だったからあれで済んだけど。」
はい交代、と先生は俺と野々村を入れ替え座らせる。
「本来だったら成績に響くわよ?下手すりゃ謹慎とか。まあ、進路も決まってるから良かったのかしらね」
はいおしまい、と先生は俺たちの肩を両手でそれぞれ叩き。
「次の授業から、出る?」
「…………」
まだ煮え切らないものが残っていて
冷静に、授業なんて出来やしない
何も言わない俺たちを見て、先生は笑い
「じゃ、大事をとって一時間休みなさい。ちょっと頭冷やすことね」
そこのベッド、好きに使っていいわよー、なんて言い残して
先生は部屋を出て行った。
バスケットボールが顔面に当たったことはあるけど
生の拳は初めてだ。
そんなことを一瞬思ったが、野々村は間髪入れずに俺の胸ぐらを掴む
「お前なにエラそーに言ってんだよ?アイツが自分に振り向かねえからって俺に八つ当たりしてんじゃねえよ!」
なに?
今、なんて
「そんな面倒くせー理由で俺に突っかかってくんな。」
なんだよ、
知ってたのかよ
「……悪いかよ。ああそうだ八つ当たりだよ!オマエがもっと本心ちゃんと出してたらもっと楽だったよ!思わせぶりな事してんじゃねーよ!その気ねえなら期待させんなよ!!!」
にらみ合い、そう怒鳴る。
「はっ、笑わせんじゃねー。俺がいつ思わせぶりな事したんだよ」
「毎日じゃねえか!今も!その態度が、お前の言動すべてじゃねえか!」
「思わせぶりなんかじゃねえんだよ!!!」
ドン、と突き飛ばされて
俺は後ろに吹っ飛んだ。
キャー、と女子の悲鳴が聞こえる。
この騒ぎは、みやのっちの耳にも入るだろうか
情けない。
だけど、男は引き下がれない時もあるんだよ
「はっ…、じゃあ、何なんだよ!!オマエのあの態度はいったい何なんだよ!!」
「お前に分かってたまるかよ!!話したくもねえな!」
「そうやってまたお前は肝心な所から逃げるんだろうが!」
野々村の瞳が、心なしか揺れた気がした。
その時
「誰だ!こんな所で騒いでいるのは!」
「こら!やめなさい!」
聞き覚えのある声が、廊下に響き渡った。
学年主任で、バスケ部の顧問ーーー山岡だ。
野次馬の生徒たちはそそくさと教室へ戻る。
皆、窓から身を乗り出して廊下の様子を伺っている。
「松田!野々村!二人とも職員室へ来い!」
俺たちはそのまま、何も話す事もなく
ただ黙って、先生の後を歩いた。
その後、5限の授業は出る事もできず
先生からこっぴどく説教をくらい
頬の手当てのために、保健室へ通された。
「まーアンタたち、こんな時期によくやるわね」
保健室の先生が呆れた顔で迎えてくれる。
俺たちは無言で、お互い目を逸らした。
「ま、男の子ですもんね。それくらい元気があるのも健全な証拠かしら」
湿布を手に、ひとりずつねと先生は椅子に座らせ、手当てをする。
「理由は知らないけど、アンタたちラッキーね。山岡先生だったからあれで済んだけど。」
はい交代、と先生は俺と野々村を入れ替え座らせる。
「本来だったら成績に響くわよ?下手すりゃ謹慎とか。まあ、進路も決まってるから良かったのかしらね」
はいおしまい、と先生は俺たちの肩を両手でそれぞれ叩き。
「次の授業から、出る?」
「…………」
まだ煮え切らないものが残っていて
冷静に、授業なんて出来やしない
何も言わない俺たちを見て、先生は笑い
「じゃ、大事をとって一時間休みなさい。ちょっと頭冷やすことね」
そこのベッド、好きに使っていいわよー、なんて言い残して
先生は部屋を出て行った。