私と王子様のプロローグ


酒井が特盛弁当を頬張りながら、心配そうな目を向けてくる。


「いいな~私も梓の手作りおかず食べたい」


「麻衣。お疲れ様」


片手にタンブラー、もう片方にノートパソコンを持って向かい合うように座る。


多分新しいプロモーション計画でも詰めているところなんだろう。広報も大変だ。


「酒井君、その量よく食べられるよねぇ」


「夏バテとか言ってらんないっすから!」


「さすが新人その元気が素晴らしい。逆に梓はお腹空いてないの?あんまり減ってなくない?」


「あ、そういうわけじゃ」


「さっき俺が声かけたときも水野さんぼーっとしてて。もしかして恋煩い的な?」


「違いますから!」


余計なことを言うな酒井。


私は告白された次の日も平然とご飯を食べられるほど恋愛に耐性があるわけじゃないんだ。


「でもなーんか悩んでる雰囲気はあるし。どうしたの?梓」


「俺にできることがあったら言ってください!」


「酒井はちゃんとお弁当完食してくれればいいよ」


「えー俺の扱い」


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