私と王子様のプロローグ
―――それから一週間後、広告代理店の担当者の方も交えて今回の企画の打ち合わせを迎えた。
場所は先生の部屋のリビング。あの告白以来、初めて来る。
「では改めまして。ウェディングCM企画を担当させていただきます、アカウントプランナーの神崎と申します」
私と蓮見先生の前に座り、定型文の挨拶をするのは神崎郁也さん。
「この度は依頼を受けてくださり、本当にありがとうございます。僕も蓮見先生の作品は拝読しているので、嬉しいです」
多分こうして3人で直接会って打ち合わせする機会を設けたのは、ようやく先生が引き受けてくれたことへのお礼も兼ねてるんだろう。
仕立てのいいダークブルーのスーツをきっちり着こなす彼は、真面目な印象を受ける。
「事前に資料は送らせていただきましたが、紙媒体でもお持ちしましたのでこちらを」
私の方に一度資料データを送ってもらい、まとめたものを蓮見先生にも確認してもらっている。
でもこうして紙媒体も用意してくれるのはありがたい。
神崎さんは一切無駄のない動きで先生が資料を見やすいよう気を配っていて。この人、すごいな。
「まずは第一弾の出会い編のプロットとシナリオの提出をお願いできればと思います。進捗の方はいかがでしょうか?」