私と王子様のプロローグ


一体あの人はなんだったんだ。


渋っていた先生が企画を承諾した理由を知りたいと思うのは、担当として不思議じゃないけど。


うーんと首をひねらせながら、部屋に戻った。


「蓮見先生、お待たせして申し訳ございません。それで話というのは?」


今日、三者での打ち合わせが終わった後時間をくれないかと言われていた。


「ん?梓のことをもっと知ろうと思って」


さ、座って、と手を取ってソファに誘導される。綺麗な手だな。


「私の自己紹介は初めてお会いした時にさせていただいたはずですが」


「それは肩書きだろう?俺たち、恋人同士になったんだからお互いのことをもっと知らないと」


なるほどそうきたか。


「梓の好きなものは?場所でも、なんでもいい」


前より距離が近くなったのは、お付き合いをすることになったからに違いない。


造りものかと思うくらい綺麗な顔が近くにあると、それだけで緊張してしまう。


「好きなもの……改めて聞かれると意外と答えが見つからない」


「はは、ごめん。難しい質問をしちゃったかな」


「いえ!答えます。たとえば、和食は好きですし甘い食べ物も好きです」


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