私と王子様のプロローグ
蓮見先生は面白いね、と言ってくすくす笑う。
「そんなに笑わないでください。聞いてもいいですか?」
「いいよ。何でも聞いて」
「蓮見先生は、どんな食べ物が好きですか?」
「和食」
「……私に合わせました?」
「違うよ。意外だって他の人からも言われたことあるけど、和食が好き」
蓮見先生は海外にもよく仕事で訪れているから、そのイメージもあって洋食派なんだと思ってた。
「好きな色は?」
「色は……勿忘草色」
「灰色がかった水色、ですよね」
『知っててくれたんだ』と大きな双眸を見開く。
「広報部の同期が色の和名図鑑を持ってて。そのとき、珍しい名前だから覚えてました」
蓮見先生はあの色が好きなんだ。今度ファイルの色とかできるだけその色にしてみよう。
「梓、ほかには?」
「休日というか、空いた時間は何をしていらっしゃるんですか?」
「何してると思う?」
いたずらっ子のような笑みを携えて、『当ててみて』と期待の目を向けられた。