私と王子様のプロローグ


さすがに杉本さんからも彼が休みの日に何をしているのかまでは聞いていない。


きっと世間からのイメージだと、優雅なティータイムで一息ついているだとか、休みの時間であっても資料集めをしているだとか。


『いかにも』メディアに出ている蓮見先生の雰囲気に合っている姿を想像するだろう。


「私の勘ですが、何もしていないのでは?」


頭の中をからっぽにして、お昼寝したりとか。実はそういう感じなのかもしれないと思った。


「……梓」


「わ、私間違えました?」


実際もイメージ通りアールグレイを飲みながら洋書を読んでるのかな。


「梓すごい。正解」


私の手をとって、指を絡める。


「どうして分かったの?」


「今までメディアの取材にお答えになっていた内容や最近のお仕事のやりとりから、先生はオンとオフはしっかり分ける方なのかな、と」


だからいつでもどこでも考えっぱなし、っていうことはしない気がした。


「俺に『休みのとき何もしてなさそう』なんて言ってきたの、梓が初めてだ」


「もう少し言葉を選ぶべきでした大変失礼いたしました」


「梓は面白いから飽きないなぁ」


< 22 / 77 >

この作品をシェア

pagetop