私と王子様のプロローグ
【王座は彼のもの】
「わ、綺麗なお姫様が直々に迎えに来てくれるなんて」
パーティーのために蓮見先生がいるマンションまで迎えに来たら、開口一番に恥ずかしい台詞を言われる。
「やめてください蓮見先生」
「本当のことだよ。マーメイドラインのドレス、すごくいいと思う」
色も素敵だ、と褒められて動揺を隠せない。
今日のパーティーでどんなドレスを着るか悩みに悩んだ結果、裾がマーメイドラインのエメラルドブルーのドレスにした。
色を選ぶ際に、蓮見先生が『寒色系が似合う』と言ってくれたことを思い出して、ついこの色にしてしまった。
「シンプルだけどヘアスタイルも小物も品があって、梓に合ってる」
「おい蓮見、それ以上言うと水野がパンクするからやめてやれ」
「杉本さんだって梓のこと綺麗だって思うだろ?」
新部署の宣伝も兼ねて一緒に出席する杉本さんに、蓮見先生は同意を求めようとする。
「そりゃ普段のスーツとドレスじゃ違うからな」
「そうやって気の利いた台詞が言えないことが唯一の欠点だよ」
「お前みたいに歯の浮くような台詞がつらつら言える性分じゃないんでな」