私と王子様のプロローグ
いくつもの目が蓮見先生を射抜く。
羨望、尊敬、嫉妬、これでもかというほど様々な感情が向けられていて。
けれど彼は臆することなく、全てを受け止めて微笑んだ。
「こんにちは」
会場を見回してひと言挨拶すると、我先にと名刺を持った人たちが列を作り始める。
「二人とも、またあとで」
「蓮見先生、出来るだけ離れないようにしますので」
「ありがとう」
「お前もほどほどにしておけよ」
「杉本さん、俺はいいから水野さんを」
杉本さんは分かってるというように頷き、『俺たちも営業始めるか』と蓮見先生から離れる。
「いいんですか?まだオープニングも始まっていませんが」
「ああなったら誰も俺たちが間に入ったところで聞かないし、蓮見はひとりでも上手くやる」
確かに場慣れしているかどうかで言えば蓮見先生が一番だ。
開会宣言まであと少し。杉本さんとも離れ、まずは懇意にしている企業の人たちから挨拶する。
「朝波さん、お久しぶりです」
「あら!水野さん」