私と王子様のプロローグ


そうして挨拶する度に蓮見先生の担当編集者になったことに驚かれた。


あの蓮見先生の執筆はどういうスタンスなのか、先生の裏の顔はどうなのか、とか。


好奇心むき出しで質問攻めにされながらも何とか躱す。


「皆様、お待たせいたしました。只今よりパーティーを開催いたします。まずは弊社の取締役より挨拶を」


会場の照明が落とされ、ようやく開会宣言がなされる。


その間に蓮見先生を探すと、やはり絶えず誰かの相手をしていて。


一息つく暇もないだろう。


主催者からの挨拶が一通り終わり、淡いオレンジの照明に戻され歓談が再開された。


「次は誰のところに行こう……」


参加者はネームプレートをつけていて、そこに社名と業種を分かりやすくするために色がついている。


出版社なら赤、広告関連なら緑、というふうに。


それを見分けながらシャンパンを飲んでいたら。


「水野さん、参加してたんですね」


この声には聞き覚えがあった。



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