私と王子様のプロローグ
その後も失礼にならないように言葉を交わしつつも、蓮見先生のもとへ行くために前へ進む。
けど、進む度に会話の輪に加えられ、なかなか抜け出せなくて。
「はぁ……蓮見先生、やっと会えました」
蓮見先生の傍にどうにかたどり着いた頃には、もうパーティーも終盤の時間だった。
「水野さん。戦場をくぐり抜けてきたみたいな顔してるけどどうしたの」
「そのたとえ、あながち間違いではないです」
神妙な顔つきで言えば、蓮見先生は一瞬きょとんとした表情をしてから笑った。
「で、そこまでして俺のところに来てくれたのはどうして?」
「蓮見先生、ずっと誰かに話しかけられっぱなしだったじゃないですか。何か困ったことがないか心配で」
「慣れてるからね、平気だよ」
「でも、多分食事もまともに出来ませんでしたよね」
蓮見先生が今持っているのは空になったグラスのみ。
ウェルカムドリンク一杯だけじゃ足りないだろう。
「夕食をご用意しましょうか?運営側には念のため事前に連絡してあるのですぐに持ってきてくれると思います」