私と王子様のプロローグ
「……いい香り」
私には大きめサイズのシャツとスウェットを着ると、蓮見先生の香りに包まれる。
自分が彼と同じ香りがするものを身につけているのが、くすぐったい。
「何やってるんだろ」
ハッと我に返って、慌てて袋を持ってリビングへ戻る。
「蓮見先生、服を貸していただいてありがとうございます」
「わ、その恰好。彼シャツみたいで結構クるね」
「冗談言わないでください」
「ほんとのこと。ソファに座ってて。もうすぐ出来るから」
蓮見先生はキッチンから顔をのぞかせて、ソファに視線を滑らせる。
「何か作ってるんですか?」
「そ。美味しいと思うから楽しみにしてて」
蓮見先生が料理してるとこ、初めて見たな。キッチンから漂う香りに食欲をそそられる。
数分待てばスープカップを持ち、対面する形でソファに座った。
「お待たせ。野菜たっぷりコンソメスープです」