私と王子様のプロローグ


「え!これ蓮見先生の手作りですか」


「そうだよ。ちゃんと野菜を切るところからやった」


ふわふわと湯気が立ち上る琥珀色のスープには、色とりどりの野菜とベーコンが入っていた。


「おいしそう」


「これくらいが夜食にはちょうどだと思って」


「いただきます」


「召し上がれ」


まさか蓮見先生の手料理を食べる日が来るとは。


スープはちょうどいい塩加減で、野菜も程よく火が通っている。ひとくち、またひとくち。


「蓮見先生は料理もお上手なんですね」


「これくらい誰にでも出来ると思うけど」


「意外とシンプルな料理ほど難しいものじゃないですか?でもこのスープは最高に美味しいです」


だんだん身体もあったまってきて、ぽかぽかする。


「梓に褒めてもらえて嬉しい。誰かのために料理を作るのは、久しぶりだからさ」


「忙しいと料理を作る時間すら惜しくなりますし」

< 42 / 77 >

この作品をシェア

pagetop