私と王子様のプロローグ
「え!これ蓮見先生の手作りですか」
「そうだよ。ちゃんと野菜を切るところからやった」
ふわふわと湯気が立ち上る琥珀色のスープには、色とりどりの野菜とベーコンが入っていた。
「おいしそう」
「これくらいが夜食にはちょうどだと思って」
「いただきます」
「召し上がれ」
まさか蓮見先生の手料理を食べる日が来るとは。
スープはちょうどいい塩加減で、野菜も程よく火が通っている。ひとくち、またひとくち。
「蓮見先生は料理もお上手なんですね」
「これくらい誰にでも出来ると思うけど」
「意外とシンプルな料理ほど難しいものじゃないですか?でもこのスープは最高に美味しいです」
だんだん身体もあったまってきて、ぽかぽかする。
「梓に褒めてもらえて嬉しい。誰かのために料理を作るのは、久しぶりだからさ」
「忙しいと料理を作る時間すら惜しくなりますし」