私と王子様のプロローグ
誰かに髪を触られること自体あまりないのに、今回は相手が蓮見先生なんて。
「ねえ梓、髪にキラキラしたものがついてる」
「これはラメスプレーっていうんです。光にあたると綺麗にみえるんですよ」
「へー、そんなものがあるんだ」
女性のお洒落はすごいね、と感心したように呟く。
博識でなんでも知ってそうな蓮見先生でも、こういうことは初耳だったのかと少し親近感がわいた。
「だいぶほどけてきた。あとちょっとだから待って」
「適当でいいですよ」
「ダメだよ、髪が傷む」
梓の髪は綺麗だからもったいないと言われて、つい頬が緩む。
「……これでいいか」
最後に全体的に髪を梳いて、ぽん、と頭に手をのせた。
「髪も元に戻したし、お風呂入ってきなよ」
「はい!?」
「え、泊ってくんじゃないの?」
「泊ってく前提だったんですか?」