私と王子様のプロローグ
【交錯する感情】
「あーほんっと許さねぇ」
「怖い顔してどうしたの」
「水野さん聞いてくださいよ」
「いや聞かなくていいよ梓」
フリースぺースでいつもの定位置で項垂れる酒井と、それを冷めた目で見る麻衣。
「酒井、私でよければ話だけでも聞くけど」
「見てくださいよこれ!」
ずいっと目の前に突き出されたのは、可愛らしい女の子とその彼氏であろう男の子の写真。
「これが?」
「昨日、妹が彼氏できたっていってこの画像送ってきたんです」
「いいことなんじゃないの?ふたりとも仲良さそうだし」
「梓、酒井君は妹に彼氏ができたことが許せないんですって」
「シスコンか」
「なんとでも言ってください!こいつ、軽そうっていうか、もっと爽やか好青年と付き合ってほしかったっていうか」
酒井が特盛弁当をやけ食いしながら画面を睨みつける。