私と王子様のプロローグ
「今までの蓮見先生の表現方法とは別のアプローチをしている箇所もありますよね。踏み込んだ感情の表現とか。そういうところも私は好きです」
『気づいてたんだ。これも梓と過ごす時間が増えたからかな』
「お役に立てているなら、幸いです」
『梓のおかげだよ、ありがとう。昼休み中にごめん』
「いえ、お忙しいなか電話してくださってありがとうございました」
第一弾のときにこういうやり取りはなかったから、純粋に嬉しい。
『仕事、頑張って』
「蓮見先生も、無理をなさらないように」
電話を切って席に戻ると、なぜか麻衣がニヤニヤしていて。
「今の電話の相手、蓮見先生?」
「そうだけど」
「すっごい仲良さそうっていうか、雰囲気よさげじゃない?」
「俺もそう思いました!水野さん、楽しそうでしたよ」
酒井までいたずらっ子のような表情でこちらを見てくる。
「普通に話してただけ。ウェブCMの脚本のことで少しね」