私と王子様のプロローグ



後輩がSNSでウェブCMのタグがトレンドになっていると教えてくれたのを思い出す。


「コメントでも第二弾の公開を楽しみにしていると好評をいただけています」


「うちの社内でも、蓮見先生の脚本はもちろんですが映像も好評でしたよ。細かい演出まで凝っていて、私も見入ってしまいました」


画面の端から端まで、全部がひとつの芸術作品だった。


「制作部に伝えておきますね。だいぶ苦労したみたいで」


ウェブCMという短い時間で表現しなければいけない枠だからこその難しさがある。


「脚本を読んでいて思ったんですが、良い意味でいつもと雰囲気が違いましたよね」


「……それは、私も感じていました」


「今までだと繊細で美しい表現で丸められていた人の感情に、一歩踏み込んだ感じがしたというか」


神崎さんも気づいていたんだ。


しかもその変化を的確に捉えていて。


「蓮見先生の表現が変化したのは、なぜでしょう」



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